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 ローズラン・ダム  Barrage de Roselend 

ローズラン・ダムは、バットレス式のダムとアーチ・ダムを合体させた美しい造形のダム(1961年、堤高150m、堤長806m)。他に例を見ないユニークな形態は、ダムのプロとして知られるアンドレ・コイン(André Coyne、1891~1960年)の代表作。独創的なデザインは、“長い尾根と深い谷” を最も安価に遮水するための天才的なアイディアによるものであった。コインは、14ヶ国で70のダムを設計したフランスの土木技師で、コイン・エ・ベリエ(Coyne et Bellier)というエンジンアリング会社を設立した。彼には、悲しい話がある。1952~54年にかけてコインが設計した南フランスのマルパッセ(Malpasset)ダムが、完成の5年後の1959年12月2日に基礎地盤の滑動のため突如として完全崩壊し、423名の人命を奪った。コインは失敗者として打ちのめされ、翌1960年7月に死亡した。ローズラン・ダムの着工は1955年。マルパッセの崩壊にもかかわらず、ダムは当初の計画通りに建設が進み、1962年に完成した。コインは完成した素晴らしい姿を見ることはできなかったが、ダムは標高差1208m のラ・バティー (la Bâthie)発電所まで水を送ることで 48万kWの自然な電力を生み、アルプスの展望で観光客を呼んでいる。1枚目の写真は、ダムの上部と同じ目線から見たもの。“長い尾根” の上の遮水壁を支える長いバットレスが目立つ。2枚目の写真は、ダムを見下ろす丘の上から撮ったもので、全体の雰囲気が一番良く分かる。3枚目の写真は、ドロン・ド・ボーフォール(Doron de Beaufort)川の深い谷の部分に作られたアーチダムがよく見えるよう、反対側の丘の上から撮ったもの。2枚目の写真と比べ、印象は全く異なる。最後に、マルパッセ・ダムの現状を4枚目に示す。高さ66m、幅222mのダムがこれほど完全に破壊した原因は、①10日間で500mmの豪雨、②1km下流に高速道路の橋の建設現場があり放水の決断が遅れた、③下流の住民に対する警報システムがなかったから。