セサール橋は、ロワール川に面したソーミュール(Saumur)の町と、川の中洲のオファール(Offard)島を結ぶ長さ276.76mの石アーチ橋で、1770年に架けられた。それまで、ソーミュールには1230年架けられた古い橋があり、その修復に1752年に派遣されたのが技師のルイ=アレクサンドル・ドゥ・セサール(Louis-Alexandre de Cessart)。調査の結果、架け替えるしかないと判断し、トゥール地区の技師長ジャン=バティスト・ドゥ・ヴォグリ(Jean-Baptiste de Voglie)もそれに同意した。ヴォグリは、翌年、当時として革新的な “水平な(現在の橋のような)連続アーチ” を設計した(スパン19.5mのアーチが12連)。彼は、橋が洪水で破壊されないよう、橋脚の幅を3.9mとした(スパンの1/5は標準的)。架橋工事は1756年から始まり、セサールが施工を取り仕切る。しかし、橋を洪水に対して強固にするための基礎工が2年かかってもうまくいかなかったので、当時、ロンドンのウェストミンスター橋で使われていたケーソン(木製の筒を川に沈め、中に作業員が降りていって作業をする)工法をフランスで初めて使用した。その結果、工事は順調に進み、1770年に完成し、橋にはセサールの名が付けられた(非常に稀な事例)。なお、オファール島と反対側の岸とを結ぶ橋(Pont des Cadets de Saumur)ができたのは1833年。ローヌ川を渡るこの2連の橋は、1982年に1.2km下流に新橋ができるまでソーミュールで唯一の橋だった。1枚目の写真は、全景。左の尖塔はサン=ピエール教会(Église Saint-Pierre)。2枚目の写真は、旅行会社のサイトにあった、岸辺から橋を撮った写真。3枚目の写真は、グーグル・ストリート・ビューで見た、オファール島と対岸を結ぶ橋。