次に、モワサック修道院で一番重要な回廊。1枚目の写真は、41m×38mの回廊を、教会の鐘楼から見下ろして撮ったもの。2枚目の写真は回廊と中庭を撮ったもの。そして、3枚目の写真で一番印象的なのが、細い柱の向こうに中庭が透けて見える光景。ここで、高さ25mのレバノン杉が1本、中庭の中央でない場所に生えている。19世紀に植えられた(樹齢150年)と書かれているが、なぜレバノン杉で、それを片隅に植えたのかの説明は見つからなかった。モワサック修道院の回廊が1100年に完成したことは、「L'année de l'incarnation du Prince éternel 1100, a été fait ce cloître du temps d'Ansquetil abbé(この回廊は、永世の君主が顕現した1100年、アンスクエティルが修道院長の時建てられた)」という銘板が残っていることから明らか。石の列柱は、1147年に完成したフォントネー(No.40)や、1220年に完成したセナンク(No.56)の回廊に比べ、嘘のように細い。しかし、石の柱の上の柱頭彫刻は正真正銘のロマネスク様式で、しかも、その下の細い柱にぴったり合うように作られている。こんなことができた理由は、フォントネーやセナンクの回廊の天井が石造の半円ヴォールトだったので、その荷重を受け止めるには太い柱が必要だったのに対し、モワサックは木の板でできた瓦葺きの屋根で軽かったからであろう。ただ、柱頭と屋根の間に、煉瓦造の尖頭アーチのアーケードが連なっているのは、1100年の時点ではあり得ない。だから、この部分は、教会の方も下部を残して上部はすべて15世紀に作り直しているので、15世紀の改修であろう。そう言う意味では、1100年と15世紀の合体構造と見るのが正しいと思われる(1309年に完成したトゥールーズのジャコバン教会回廊(No.51)は、モワサックにそっくりだが、柱頭彫刻は小さくて単純)。4枚目の写真は、ロマネスク様式の多様な柱頭彫刻を撮ったもの。ただ、あまり面白いものがないので、専用のサイトから1枚拝借して、5枚目に掲載する。