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 セナンクのノートルダム修道院  Abbaye Notre-Dame, Sénanque 

セナンクのノートルダム修道院は、1148年に設立され、それからシトー会の修道院の建設が始まり、完成したのは1220年。ロマネスク様式の建物で、修道院には教会堂に付属して回廊があり、中庭を囲む歩廊の屋根を支える柱は、ロマネスク様式なので半円アーチでつながっている。回廊の歩廊は黙想の場であり、中庭は黙想のために必要な静寂の場であった。セナンクの修道院に関する歴史には特記すべきことはなく、今も現役であることと、何よりも、1枚目の写真にあるように(少し時期が早いが)ラヴェンダーが美しいことで有名。2枚目の写真は中庭側から回廊を撮ったもの。3枚目の写真は、回廊側から柱に邪魔されてほとんど中庭が見えない状態を撮ったもの。
 
 
 

ここで、少し庭園史について触れておく。回廊の起源は、古代ローマに求めることができる。1枚目の写真は、有名なポンペイの遺跡にあるヴェッティの家(Casa dei Vettii)のペリステュリウム(peristylium)。ペリステュリウムというのは、古代ローマの住宅で主庭となる回廊で囲まれた中庭のこと。写真を見れば分かるように、観光客と同じように、当時の家族は、自由に庭に出入りして会話を楽しんでいた。だから、回廊と中庭の間に障壁は一切ない。また、この時代のローマでは、個人の家にアーチは使わなかったので、回廊の屋根の荷重は大きな石の梁とギリシャ式の太い柱で支えている。これを見た上で、もう一度、上の2・3枚目の写真を見ると、回廊と中庭は壁で遮断されている(中の植物を維持するための作業用の入口が1ヶ所あるだけ)。つまり、回廊の中庭は入る場所ではない。また、古代ローマと違い、回廊の屋根が石造のため、その重量を支えるため、半円アーチを並べて開口部を設けているが、ペリステュリウムのように開放的にはならず、極めて閉鎖的な空間となった。